権利を譲渡する

太陽光発電事業が注目されているワケ

電力会社に一定の価格で再生可能エネルギーの買取を義務付ける固定価格買取制度がスタートし、太陽光発電事業への新規参入を目指す企業は少なくありません。
維持管理コストがかかる一方の使用していない遊休土地や、工場や店舗を閉鎖した事業用地などをそのまま遊ばせておくより、地球温暖化防止への貢献事業として企業の社会的責任もアピールできる太陽光発電事業で売電収入を得られれば、一石二鳥でメリットもたくさんあります。
もっとも、固定価格買取制度の適用を受けるには、定められた一定の設備要件を満たし、それを国に申請して認められる必要があります。
設備認定を受けて初めて、電力会社に対して20年という長期にわたり、予め決められた固定価格での売電ができる権利が得られることになります。

固定価格買取制度を利用するには申請が必要

固定価格で売電する権利を得るために、事業計画を策定してどのような設備を設置し、どのくらいの発電量が期待できるかなどを精査し、申請書類にまとめあげ、新規申請を図るというのがオーソドックスな方法ですが、手間やコストがかかるうえ、実は新規での申請のメリットが低減しています。
というのは、固定価格は国が毎年見直しを行っており、年々低下しているためです。
制度スタート当時の2012年には10kw以上の発電で40円、2013年は36円になり、2016年にいたっては24円まで下落しています。
制度創設当時は再生可能エネルギーの普及促進と制度利用の促進のために、高単価をつけていましたが、利用者の増加と電力会社の継続的な負担軽減に伴い、年々減少しています。

未稼働の権利を買うメリット

そこで、新規で申請するのではなく、高単価の時期に権利を取得したものの、未だ未稼働の状態にあるものや、既に稼働中の設備を権利ごと購入するという方法が考えられます。
事業に行き詰って売却を希望する事業者や、本業との兼ね合いで事業から撤退したいと考えている事業者との間で売買をするものです。
売買の仲介業者も登場しているので、相談してみるといいでしょう。

売電価格は下落傾向に

再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、電力会社に対して国が定めた価格で、20年間という長期にわたって発電した電力を買い取るよう定めています。
固定価格買取制度を利用して太陽光発電の売電を行えば、安定した発電ができる限り、20年に亘って安定した収入が確保できます。
固定価格買取制度の提供を受けるには、一定の設備要件を備えて国に申請をして認定を受ける必要があります。
認定を受けた年の価格が20年間固定されることになりますが、制度導入時の2012年は10kw以上で40円、10kw未満で42円でしたが、2013年には36円と38円、2014年には32円と37円、2015年には29円と33円、2016年には24円と31円と下落傾向にあります。

売電価格は毎年改定されている

固定価格買取制度は地球温暖化防止や安心のエネルギー確保を目的に、再生可能エネルギーの普及促進を目指して創設されました。
そのため、当初は売電を行う事業者等の参入を促進するため、魅力的な高単価となっていました。
もっとも、電力会社だけではその買取負担が重くなるため、一般家庭などの電気利用者に電気料金の支払いと合わせて賦課金を課すなどして財源を確保していたのです。
しかし、20年間続く固定価格ですから、高単価は電力会社の競争力低下や経営への負担もかけかねず、国民負担を強いることへの不満の声も上がってきます。
そのため、毎年の価格見直しの度に、次第に売電単価が低下する状態になっています。

新規で申請を行うより便利で有利な権利購入

売電単価の低下は何を意味するかというと、申請した年度によって収益に大きな差が出ることを意味します。
たとえば、2012年に10kw以上の設備認定が受けられれば40円で20年買い取ってもらえる権利が取得できるのに対し、2016年では24円で20年と収入は半分ほどに小さくなってしまうわけです。
そのため、新規で申請を行うよりも、単価が高い権利を設備ごと購入するなどしたほうが有利に働くケースが少なくありません。